PCM1704を利用したDACを一度作ってみたかった。
基板レイアウトから考え、自作したかった。
というわけで生まれたのがこのシンプルなDACです。

コンセプト
1.できるだけ共通インピーダンス、コモンモードノイズを減らす。
  電源配線パターンを考える。
  各ICに1つずつ電源を設ける。
  電源のインピーダンスを極限まで下げる。

2.ノンオーバーサンプリング動作させる。



回路図は以下のとおり(2回路入っています)

LchとRchの間に入っている回路が下の図です。


デカップリングコンデンサをあえて他に描かずに
回路図中に入れているのは、できるだけ近傍に実装するというコンセプトを表現したかったからです。
ついでに電源レギュレータも近くに置いてあります。
コモンモードノイズを発生させないためには、
電力を消費するICから、レギュレータまでの距離を短くすることが有効です。

代わりに、レギュレータのノイズや、低インピーダンスすぎる電源ラインの発振などが
問題になってきます。

基板イメージは以下のとおり

緑色が部品面、ピンクが半田面、青が電源+ライン、オレンジが電源-ラインです。
電解コンデンサは直径が10mmまでのものしか載りません。注意が必要です。
また、一部のコンデンサは直径8mm以下だったり直径6mm以下だったりします。
OSコンはマルツパーツで購入できるものを使用しています。

コンデンサ直径をまとめると
BPO DC, REF DC, 74LVC04 デカップリングコンデンサ : φ6mm
SERVO DC , PCM1704デジタル部デカップリングコンデンサ : φ8mm
その他のコンデンサ : φ10mm

シルク印刷で-極が斜線でひいてあるものがφ10で、
-記号がついているだけなのがφ6またはφ8になります。

また、この回路は出力にカップリングコンデンサを搭載していません。
自分で適当につけるか、DCでも問題ないような用途に使うか・・・お任せします。
加えて、回路の使い方にもよりますが、ノンオーバーサンプリングで使用することを考えて
作ってあります。オーバーサンプリングをするなら、DAIのほか、サンプリングレートを変更する回路が
必要になってきます。



基板が到着しました。組み立てるのが楽しみです。
動かなかったらどうしよう・・・ちょっと不安もあります。


無事動作しました。
作った感想ですが、グランドパターンが放熱しすぎて、
コンデンサなどがランドにはんだ付けしにくいです。
W数の大きいコテ先で、しっかり熱してやる必要があると思います。
私は20Wのコテでしたので、つけるのに苦労しました。
まあW数の小さいコテでも、ねかせて接触面積を大きくとればはんだ付けできるようです。

必要なもの

+-8V程度の電源(DAC,ロジック)
+-16V程度の電源(オペアンプ)
24Bit出力のDAI

IC  
PCM1704-K 2個
74LVC04 1個(電源に対応したロジックなら)(SOP ピン間1.27mm)
OPA627AP 2個(シングルならなんでも)
7805 2個
7905 2個
78xx(10〜15) 2個
79xx(10〜15) 2個
LM1117T-3.3 1個(ピン互換あれば,3.3Vレギュレータ)
   
抵抗  
1kΩ 2本(なんでもよい,サイズ1Wくらいは載ります,OPAMP帰還回路)
50Ω 2本(なんでもよい,同上,OPAMP出力保護抵抗)
   
コンデンサ  
耐圧6.3V程度  
 47uF〜  1個(φ6)3.3V用
耐圧10V程度  
 22uF〜  2個(φ6)REF DC用
 47uF〜  2個(φ6)BPO DC用
 100uF〜  6個(φ8)SERVO DC用
 47uF〜  4個(φ10)DACデカップリング
耐圧16V程度  
 47uF〜  4個(φ6 or 10)OPAMPデカップリング
 1000uF〜  5個(φ8 or 10)DACデカップリング
耐圧35V程度  
 820uF〜  9個(φ10)OPAMPデカップリング
積層セラミックコンデンサ 0.1uF  26個(2012サイズ)
積層セラミックコンデンサ 1000pF  2個(OPAMP帰還回路)(2012サイズ)


OPAMPの帰還抵抗は1kΩにしています。2.4Vp-pです。
増幅度を変えたい場合、適当に決めてください。

なお、私が製作したコンデンサの容量は回路図のとおりです。ほぼOSコンとKZH
念のため、オシロスコープで出力を確認しました。発振などはしていなくてひと安心です。


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